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【獣医師が詳しく解説!】犬の血液検査 項目と数値から分かること



ペットの健康診断受けていますか?
近年獣医医療の分野も発展し、ペットの寿命も大幅に延びました。

病気を治す前の予防医療がとても重要だということがわかり、定期的な健康診断、ワクチン、様々な病気の予防、さらには東洋医学、食事療法など広がりを見せています。

健康診断を受ける目的は大きく分けて以下の2つです。
・病気の早期発見に繋がること
・健康な状態を知るということ

犬や猫は体調が悪くても話して教えてくれることはできません。
そのため気づかぬうちに病気が進行してしまっているケースはよくあります。獣医師は、一緒に暮らしている飼い主さんからの情報と触診、聴診、血液検査、レントゲン、エコーなど様々なデータを検討して病気を突き止めます。


■普段の元気な姿を獣医師に知ってもらうことが大切■




体調が悪くなって初めて病院に罹る場合と、日頃から動物病院へ来て体重を測ってもらったり、爪を切ってもらったり、耳の状態や肛門腺のチェック、毛並みの状態や口の中を診てもらっている場合とでは大きな差が生じます。

普段の健康な状態の時を獣医師が知っている場合、体重減少や普段との違いに気づくことができ、より早く適切な治療が行なうことができます。

また犬や猫も、病院や先生に慣れているので過度に興奮することなくスムーズに処置が行えるのもメリットです。

対して体調が悪くなって初めて動物病院に連れて来られた動物は、知らない場所で初めての人に身体を触られる、それも痛いところを。
恐怖でしかありません。

動物病院を大嫌いになるでしょうし、治療をすること自体難しいこともあります。


■血液検査は何歳から?何回くらい受診が必要?■




また、健康診断(血液検査)を1歳から7、8歳まで毎年1回行なうことでその動物の健康な状態での基準値がわかるようになります。

例えば、クレアチニン(Cre)は一般に腎機能の評価に用いられるのですが、実は腎臓の異常に対してそれほど鋭敏ではなく、筋肉量の影響を受けることが知られています。

筋肉量は犬種によって、また若齢か高齢か、生活環境でも異なるはずなのですが
基準値から外れてしまい、腎臓が悪いのかなと誤診を招くこともあります。

毎年の血液検査のデータがあればその個体独自の健康基準値がわかるので、体調を崩したり高齢になって病気になった時にわずかな異常が起こっても鋭敏に精査できる可能性が高くなります。

血液検査の正常値は、あくまで目安であり絶対的なものではありません。

若い健康な時から健康診断と血液検査を行なって記録することで、経過やその個体の傾向がわかり、病気の早期発見にも繋がります。

最初の健康診断で血液検査をするのは、おそらく生後半年頃の避妊、去勢手術の時になると思います。

その後は犬の場合毎年春先にフィラリア検査で血を採る為一緒に健康診断の血液検査もするとよいでしょう。犬も猫も1年に1回、7、8歳のシニア期に入ったら年2回ほど血液検査を受けることをお勧めします。


■血液検査を受ける上で知っておいてほしい項目■




血液検査を受けるとおよそ1週間以内に結果を受け取ることができます。
検査項目は大きく2つに区分されており、ここから更に細分化された結果を見ることができます。



それぞれ検査結果表には目安となる基準値が書かれていますが、
この正常値より高かったり、低かったりした場合直ちに異常となるわけではありません。

獣医師が気になる項目があればさらに別の角度から検査をします。少しでも気になることがあればかかりつけの獣医師に相談してください。

血液検査の項目は沢山あります。その中でも簡単にはなりますが知っておくと良い項目についてお話しします。
 
1.血球検査(CBC)

最も一般的な検査で血液中のすべての細胞成分を調べるものです。

■白血球数(WBC)

主に炎症や感染の指標となります。
細菌や異物から身体を守る働きがあります。好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の大きく分けて5つの種類があります。

白血球数が多い↑  炎症や細菌感染、ストレス、異物などの疑い

白血球数が少ない↓ 敗血症、ウイルス感染、白血球を作る骨髄の働きの低下などの疑い

■ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)

貧血の指標となります。

ヘマトクリットとは血液中に占める赤血球の割合のことです。ヘモグロビンは赤血球中のタンパク質で、肺から全身へ酸素の運搬をしています。

ヘマトクリット、ヘモグロビン高値↑ 下痢や嘔吐などによる脱水

ヘマトクリット、ヘモグロビン低値↓ 貧血

貧血の原因は沢山あり、その後ろに大きな病気が隠れていることも少なくありません。貧血の傾向が見られたら、きちんと検査をして原因を突き止め、治療することがとても大切です。

■血小板(PLT)

止血機能があるかの指標となります。

血小板が少ない↓ 凝固不全、出血などの疑い

2.血液生化学検査

臓器・器官系が正常に働いているかどこかに異常が生じていないかを調べる検査です。
肝臓、甲状腺、副甲状腺、電解質、腸、膵臓、腎臓、副腎、蛋白などの機能を調べます。

沢山あり、それぞれ単独ではなく相互に作用しあっています。

ここではいくつか知識として知っておくとよいものをピックアップしてお伝えします。

■総タンパク(TP)、アルブミン(Alb)

主にタンパク質の指標で、栄養状態や、肝・腎機能、免疫の状態の把握に用います。
アルブミンは血清中に含まれるたんぱく質の1つで肝臓でアミノ酸から合成されます。

総タンパク、アルブミン高値↑ 脱水

総タンパク、アルブミン低値↓ 肝・腎疾患、胃腸障害、食事の摂取量不足

アルブミンが極端に低い場合は、食べ物からタンパク質などの栄養素をうまく吸収できていない可能性や、アルブミンを作る肝機能がうまく働いていないなどの原因が考えられます。アルブミンが2.0g/dl以下まで低下してしまった場合、血管から水分が漏れ出し胸水を引き起こす危険性もあります。

■血糖値グルコース(Glu)

糖尿病の指標です。
グルコースは身体を動かすエネルギー源です。

血糖値グルコース高値↑  糖尿病の疑い

臨床症状としては、よくご飯を食べるのにどんどん痩せていく、多飲多尿などの症状が現れます。血液検査と共に尿検査で尿糖やケトンが出ていないかも合わせてチェックします。

血糖値は興奮すると一時的に上昇することがわかっています。また、食事の影響も受けやすい項目の1つです。 

■尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cre)

主に腎臓系疾患の指標です。

タンパク質の分解に作られるアンモニアは肝臓で尿素に変えられ、糸球体でろ過され腎臓から尿中へ排泄されます。
クレアチニンは体内でタンパク質が使われた後の老廃物で、糸球体でろ過された後同じく尿中に排泄されます。

BUN、クレアチニン両方とも高値↑ 腎疾患の疑い

ただし、BUNも食後の採血の影響を受けやすい項目です。
また、クレアチニンは前述した通り筋肉量に影響するため注意が必要です。BUN、クレアチニンが高い=腎臓病と決めつけてはいけません。

飲水量や尿量が増えていないか、絶食時での再検査をし、尿検査で尿比重が低く、尿たんぱくが出ている場合は腎臓病の可能性が高くなります。

ここ数年で新しい腎機能マーカーであるSDMAという検査項目が測定できるようになりました。クレアチニンは腎機能が75%低下して初めて数値が上昇するのに対し、SDMAは腎機能が40%低下したところで数値が上昇します。

慢性腎臓病に対する早期治療が可能になりました。
特に高齢の猫は慢性腎臓病に罹ることも多いです。痩せていて筋肉があまりない個体や、10歳を過ぎたシニアの猫には追加でSDMAを検査することをお勧めしています。

■アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、総ビリルビン(TBil)

主に肝臓・胆道系疾患の指標です。

ALT、AST、ALPは肝酵素です。ALTは肝細胞に多く存在します。
ASTは肝細胞の他、赤血球、心筋細胞、骨格筋細胞に存在します。
ALPは肝臓、腎臓、骨、腸なので作られ、肝臓に運ばれたのち胆汁に流れ出ます。
総ビリルビンは胆汁色素です。

ALT、AST、ALP、Tbilが総じて高い場合は肝臓や胆道系の疾患が疑われます。
肝酵素は様々なところに分布し、たくさんの要因が絡んでいる物質のためその日のストレスや食べたものによって変動することがよくあります。

肝酵素は疾患でなくても上昇することがあります。

成長期にはALPが高くなる傾向があります。

犬種シベリアンハスキーやスコティッシュテリアは遺伝的にALPが高くなることがあり、ミニチュア・シュナウザーはALTが高くなることがあります。

フェノバルビタールやステロイドを服用している場合、これらの薬は肝臓で処理されるため肝酵素の上昇が認められることが多いです。

服用中は定期的に血液検査をし、肝臓の数値を確認します。

肝臓疾患以外で肝酵素が上昇する疾患には、副腎皮質ホルモンの過剰分泌により、多飲多尿、脱毛や腹部膨満、過食などの症状が起こるクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)があります。特にALPが上昇することで知られています。

その他見落とされがちな肝酵素上昇の原因に歯周病があります。

歯周病によって慢性的な炎症状態が作り出され、肝臓に負担がかかり肝酵素が上昇したのではないかと考えられています。

糖尿病でも肝酵素が上昇することがあります。これは肝臓が血糖を取り込んで血糖値を維持する役割を担っているからです。

高脂血症(血液中の中性脂肪TG、総コレステロールT-Cho値が高い)でも肝酵素の上昇が認められることがあります。これは脂質の代謝も肝臓で行われるからです。

膵炎や腸炎など炎症が起きている時にも、ALPが上昇することがあります。

骨腫瘍や、腎臓病などでカルシウムやリンのバランスが崩れてしまった時にも肝酵素は上昇します。これは骨でもALPが作られているからです。

肝臓は全身の代謝や解毒、栄養素の合成と貯蔵、胆汁の分泌などを行なっている大変重要な臓器です。肝酵素は肝臓に特異的な物ではなく、肝臓以外の場所にも多く存在するため肝酵素の上昇≠肝臓疾患と考えるのは危険です。

肝酵素の一部上昇が見られたときは、肝臓に負担がかかっているかもしれない…ではその原因はなんだろうと毎日の食事や飲用している薬やサプリメント、歯や歯肉の状態、病気の既往歴、全身状態の把握など総合的に診ていくことがとても大切です。


■元気な頃の血液データが病気の早期発見に繋がります■




以上、血液検査のデータの読み方について知っていると少し理解が深まるかなという項目をいくつか絞ってお話ししました。

血液検査は検査の1つの手段であり、血液検査でひっかかったからこの病気だと断定できるものではありません。飼い主さんからの問診、聴診、視診、触診があって、必要に応じて血液検査、尿検査、糞便検査、レントゲン、エコー検査など追加で行ない、総合的に判断をします。

血液検査の結果だけでこの病気であると断定することはできませんが、血液検査は非常に有効です。1歳ぐらいの若い時から1年に1回定期的に検査を受けることで健康な状態のその個体のおおよその基準値を知ることができます。

定期的に検査することにより、病気を早期に見つけることができます。


■大切なわんちゃんのためにも動物病院で定期的なケアを■




小さい頃の元気なうちからぜひ動物病院に連れてきてください。
健康な状態を知るということはとても大きなメリットです。

何もないのに病院に連れてくなんてと思われるかもしれません。
動物病院に来て、体重を測り、耳や目や口の中、皮膚の状態を診てもらったり肛門腺が溜まっていないか、爪を切ってもらったりなどはとても大切なことです。

動物病院に慣れ、人に触ってもらうことが大好きな犬や猫に育ってくれると、病気になってしまった時も獣医師も普段の状態を知っているのでいち早く異常に気づくことができますし、病院にも慣れているため検査や処置をスムーズに行うことができます。


■お誕生日、定期予防接種は血液検査の絶好のタイミング!■




また、1歳頃から1年に1回フィラリア検査やワクチン接種の際に一緒に血液検査を受けておくと健康状態もより把握できますし、採血にも少し慣れ、病気になってしまった時も検査がスムーズに行なえ、検査時のストレスを減らすことにも繋がります。

これは血液検査でストレスにより上昇してしまう項目の生理的要因を限りなく減らすことにも繋がります。

ワクチンやフィラリア予防、ノミダニ予防、避妊去勢手術、病気の時に限らず、健康チェックや爪切りでもぜひ動物病院にお越しください。