犬を飼っている方で、愛犬の毛並みや皮膚のトラブルでお悩みの方が多くいらっしゃる印象を受けます。
前回の手作り食のメリット、注意点に引き続き、今回もそれに「薬膳」の発想から毛並みや皮膚のトラブルの対策について考えていきたいと思います。
そこで本記事では、
・毛並み、皮膚トラブルの原因
・薬膳の発想
・簡単にできるおすすめのレシピ
をご紹介したいと思います。
1. 毛並み、皮膚トラブルの原因
まずはどういったことが原因となり得るのか見ていきたいと思います。
・タンパク質の不足
犬の健康状態を目視で確認するには、犬の毛並みを見ることが一つのバロメーターになるようです。
毛艶がキレイな犬はきちんと栄養を摂取できているようですが、そうではなく毛並み、毛艶が悪い、毛がパサパサになる等の症状は大半の場合、タンパク質の不足が原因となることが多いのです。
毛並み、毛艶を良くするには犬の体に必要な栄養素を正しくバランスよく摂取させることが大切で、綺麗な毛並み、毛艶の犬を連れてらっしゃる飼い主さんは手作り食などで、普段から愛犬の健康状態に気にされている方が多いかと思います。
また、毛並み、毛艶等の見た目だけではなく、タンパク質を元に体内でケラチンが生成され健康的で強い皮膚ができます。
・アレルギーの可能性
犬も人間と同じでアレルギーが発症し、またそれが原因となることもあるようです。
犬が体を痒がる、また皮膚の赤み、フケなどが見られる場合、食べ物によるアレルギーを起こしている可能性があります。
アレルギーは突然発症することが多く、毎日、何時に何を食べているかを細かく把握することで、アレルギーの原因となった食材の特定に役立ちます。
・寄生虫や細菌
皮膚バリア機能の低下が原因となるものです。これを引き起こす要因として、内分泌疾患やアレルギー疾患が背景にあることが多いと考えられています。また、皮膚バリア機能が未熟な子犬での発症も多くみられるようです。
2. 薬膳の発想
前回の記事「(気)お腹の調子」でも上げた薬膳について少しだけ深く掘り下げていき、今回のテーマである毛並み、皮膚トラブルの対策について考えていきましょう。
薬膳の考え方は中医学理論に基づいたもので中国伝統医学がベースとなってできたものです。
「疾病の予防、病気の回復、健康維持のために中医学理論に基づき作られた美味しい食事」という定義があり、生薬、漢方を使ったら薬膳になるということではなく、基本的には栄養学(※薬膳表記では営養学と表します)との分類になります。
また、基本的には人もペットも同じ考え方になりますので、愛犬・愛猫にももちろん利用できる知識です。
今回は「気」に続いて、「血」の説明をしていきましょう。
これは上記述したタンパク質不足とも大きく関係してくる内容になります。
「血」は血液を表し、全身に酸素や栄養を運んだりする重要な役割を担うもので、気同様に不足したり停滞することで様々な症状が出てきます。
「血」に関連する「証(しょう)」も代表的なものは2つあります。
1つ目の血虚(けっきょ)は体の血液、栄養分が不足して爪が変形(割れる)、毛が抜けやすくなり、艶がなくなるなどの症状が見られます。
2つ目の瘀血(おけつ)は気滞と同じ考え方で血液の巡りが悪くなり、滞った状態を表します。
肌あれ(上述した皮膚トラブルも含む)が目立つようになります。
いずれもわかりやすく症状が出てきますので、飼い主さんはこれらの症状が見えたら、血虚または瘀血を疑ってください。
また「1. 毛並み、皮膚トラブルの原因」で記述したタンパク質不足との関わりですが、タンパク質は血液はもちろん皮膚・毛髪・爪含め様々な組織の形成にしています。
毛艶が悪い、毛がパサパサになる等の症状の大半はタンパク質の不足が原因と上述しましたが、タンパク質が不足して血虚となることが原因です。
良質なタンパク質を取ることで良質な血液を作り、滞りなく各形成します。
その結果、血虚、瘀血を改善することともイコールとなり、毛並み、皮膚トラブルを予防できます。
3. 簡単にできるおすすめのレシピ
それらを解消するために血虚には「鶏モモ肉」を使ったレシピをご紹介します。
「鶏モモ肉」はお腹を温め、血を補う作用が強いだけでなく、体に潤いを与えてくれますので、皮膚のカサつきも解消できます。
また、瘀血に対しは「アジ(もしくはサバでもOK)」を使います。
アジは血液循環を助けてくれることに加え、胃を温め消化吸収機能を高めてくれます。
また「気」の働きである血や水の循環の働きも高まりますので相乗効果があります。
鶏モモの肉じゃが
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【材料】
鶏モモ肉、じゃがいも、ニンジン、えんどう豆
【作り方】
① 鶏モモ肉、じゃがいも、ニンジンを適当な大きさにカットします。
② えんどう豆を下茹でして、水で冷やしたら筋を取って、半分にカットしておきます。
③ ①でカットした鶏モモ肉、じゃがいも、ニンジンを軽く炒めます。 ※油は使わないのが理想です。
④ ③で炒めたものに、お湯を入れて熱が通るまで火にかけます。
⑤ 冷ました後に、②で準備したえんどう豆を乗せて完成です。
アジのサラダ
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【材料】
アジ(もしくはサバでもOK)、枝豆、レタス
【作り方】
① まずはアジと枝豆に熱を通しましょう。アジを茹でて、手で触れるくらいまでに冷めたら骨を取ってほぐしておきましょう。※焼くと匂いがキツくなるので、茹でるのがベターだと思います。
② 枝豆も同じように茹でて、さやから出しておきましょう。
③ 包丁は使わず手で少し大きめにカットしたレタスを敷いて、その上にほぐしたアジと枝豆を和えたものを乗せて完成です。
※必ず加熱して、骨はきれいに取り除いてあげてください。
あなたの愛犬・愛猫が今どういった症状なのか、以下のページでウェブ問診が可能です。
こちらもぜひご覧になってください。
https://pet-kampo.com/diagnosis